入学準備のスケジュールから、学習・生活環境の整え方、小学校で必要な準備物まで。
子どもたちの学びをサポートする「ベネッセ教育情報サイト」の中から、入学準備に役立つ情報を厳選してお届けします。
今回のテーマは、教育評論家に聞く「年長児の3つの力が、小1で自ら進んで学ぶ力になる!」です。

「ベネッセ教育総合研究所」では、子どもをもつ母親544名を対象に、2015年3月に「幼児期から小学1年生の家庭教育調査・縦断調査」を実施しました。
主な調査結果をご紹介いたします。

「生活習慣」「がんばる力」「言葉」が身についている子ほど、自分から進んで勉強する傾向が強い

年長児期に《生活習慣》全般、《学びに向かう力》の『がんばる力』、《文字・数・思考》の『言葉』が身についている子ほど、小1で「大人に言われなくても自分から進んで勉強する」傾向が強い

小1の時点で、子どもの家庭学習の様子をたずねたところ、「大人に言われなくても自分から進んで勉強をする」と回答したのは全体の66.3%だった(「とてもあてはまる」と「まああてはまる」の合計)。(図1)

年長児期の学習準備のどれが、小1で「大人に言われなくても自分から進んで勉強する」に影響するかを分析した。結果、《生活習慣》、《学びに向かう力》の『がんばる力』、《文字・数・思考》の『言葉』の力が高い群ほど、小1で「自分から進んで勉強する」比率が高い傾向がみられた。

年長児期に、親が子どものやりたい気持ちや考える行動を支えるほど、子どもの『がんばる力』や『言葉』は高まる

年長児期、親が子どもの意欲を尊重する態度を3群に分け、子どもの『がんばる力』を比べた。結果、子どもの意欲を尊重する態度が高い群ほど、子どもの『がんばる力』は高い傾向がみられた(図2)。

同様に、親が子どもの意欲を尊重する態度が高かったり、子どもの思考を促す関わり、学びの環境を整える関わりをしている群ほど、子どもの『言葉』の力は高い傾向がみられた。

家庭での子どもの成長プロセスでは、(1)《生活習慣》をベースに、(2)《学びに向かう力》、(3)《文字・数・思考》の成長へとつながっていく

4年間の縦断データから、年少児までに《生活習慣》を身につけることが、年中児の《学びに向かう力》へつながること、そして、そこで養われた《学びに向かう力》が、年長児の《文字・数・思考》の力を育てることがわかった。その後、小1期には、《文字・数・思考》の力や《学びに向かう力》が学習態度を育てていく関係性が見えてきた。(図3)

調査結果から見えてきたこと

幼稚園や保育園から小1の接続期は、幼児期から児童期に入り、学習生活が始まる重要な時期です。なかでも、年長児期に《生活習慣》や《学びに向かう力》の『がんばる力』、《文字・数・思考》の『言葉』が身についている子どもほど、小1で「自ら進んで学ぶ」傾向にあることがわかりました。年長児期において、保護者が子どもの意欲や自分で考える行動を支えることが、子ども自身が育つ力を支えるのに重要であることもわかりました。

さらに、4年間を通した縦断調査の結果、子どもの育ちには、《生活習慣》と《学びに向かう力》と《文字・数・思考》の育ちに順序がみられ、いずれも育つことが重要であると、今回の調査結果からみえてきました。早期から文字・数・思考の教育だけに力を入れるのではなく、子どもの育ちに沿いながら、幼児期の生活と遊びを通して、生活習慣と学びに向かう力を培うことの大切さを示すと思われます。

共働き世帯が増え、少子化などで保護者の子育て経験も減り、地域では子ども同士が触れ合う機会が限られるなど、幼児から小学校低学年の子どもが生活する環境は変化しています。その一方で、保護者は子育てや教育についてあふれるほどの情報に接しています。

子どもの育ちを支える保護者や園・小学校、地域や行政の方々が、今回の調査エビデンスを参考に子どもの育ちへの理解を深め、子どもたちが変わる環境に柔軟に対応し、学び続け、課題を解決できるよう育つことを願ってやみません。
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