「ミシンが、好きなんです」と、丁寧に話し始めてくれた福田さん。小さい頃から裁縫や縫物が好きで、いろんな作品を作っており、セイバンに入社したきっかけとなったのも、”ミシンを使った仕事がしたい”と強く思ったからだそう。

一つのランドセルが完成するまでには、全部で150以上の工程があります。それぞれ、細かく精密な作業が多く、たった0.5mmの縫い目のズレが大きなズレとなってしまいます。パーツが完璧に仕上がって、やっとこさ、質のいいランドセルが出来上がるのです。そのなかで、彼女が現在メインで担当している仕事は、前ポケット部分の組立。ランドセルの冠(カブセ)を開いたときに出てくるポケットの箇所です。福田さんがこの作業に携わるようになって、約3年が経ちました。

「今だに、手が筋肉痛になることもあります。やり方を覚えても、自分の手の使い方とか、技術は自分で身に付けていかなくてはいけないので、やはり難しいです。少しずつ慣れてきましたが、まだまだ勉強中です。」
一つの作業を丁寧にこなすからこそ、力が入る。彼女のまっすぐな瞳から、真剣な想いが垣間見えます。

「カワイイ!」って、最高の褒め言葉でした

福田さんがまだ入社1年目の時に、”たつの市皮革まつり”という、本社のあるたつの市で開催されたお祭りに参加したことがありました。内容を一言でいうと、ランドセルのファッションショー。本革を使用したランドセルに、オリジナルデザインをほどこして、そのランドセルを実際に自分で背負って、人前を歩くというパリコレを思わせるものです。まだ入社したての新入社員。ドキドキワクワクの中での制作でした。布で作った花をあしらいデコレーションしたものなど、色鮮やかで華やかなランドセルを同期4人でそれぞれ1つずつ制作しました。
「どんなランドセルにするか、まずテーマを最初に決めて、同期のみんなでデザインしました。私たちが考えたテーマは、”お花畑”や”花札”など。自分たちがデザインから考えて作ったランドセルが人前に出て、目の前で”カワイイ!”と言ってもらえて本当に嬉しかったです。こんな風に私たちが作っているランドセルも、お客さまに喜んでもらえてるのかなって。ランドセルを作る楽しみや喜びに、今も繋がっています。」

上達していく自分に気づける、喜び

最近福田さんは、ミシン仕事がより楽しくなってきたそう。いつも持ち運んでいる道具ケースは、もちろん手作り。まさに7つ道具です。
「ランドセルのブランドごとに、生地もデザイン仕様もそれぞれ異なりますが、だんだん扱える種類が増えています。何ヶ月か前は出来なかったことが、出来るようになったとき、スキルアップしているなって気づいた瞬間はとても嬉しいです。」

熟練の技術はもちろん、何よりもチームワークが必要なものづくり。わからない時や基準に迷う時には、リーダーや先輩と意見交換をしながら作っていきます。同じチームで協力し合う必要も出てきます。「ランドセルのモデルチェンジがある毎に、デザイン仕様が変わります。先輩方はベテランさんなので、スムーズに行くのですが、私は戸惑うことも多いです。でも、いつも優しく教えてくださる先輩方ばかりで。私には、頼りになるお母さんのような先輩がたくさんいます。ミシンのこと、もっと好きになってきています。」
日々上達していきながら、一つひとつやりがいを積み上げていく。彼女はその真っ最中です。